まめの木保育園では、言語聴覚士、作業療法士、臨床心理士、公認心理師の方たちに園に来てもらっています。それは発達支援が必要な子どもたちのためだけではありません。まめの木保育園では、子どもたちみんな、それぞれの発達を多角的にみて保育を充実させるために専門家の方たちと連携をしています。
以前は療育と保育の分野は切っても切れないけど、なんとなく近くて遠い存在のように感じていました。
「子どもたちの発達をサポートしたくて療育とつなげても、療育施設でなにをしているのかよくわかない。」
「子どものために良いことならば療育で何をしているか教えてもらえれば保育の中でも積極的に取り入れいきたいのに、何しているかよくわからない。」
「療育で何しているか聞いても、それがこの子にとってどういう効果があってやっているのかわからない。」
「療育施設の方に保育園での様子を伝えてもあまり伝わっていないような…?」
「療育から戻ってきた日はいつもより荒れているような?本当にこれでいい?」
などなど、ずっと繋がりはあったけれど、うまく連携できていなかったように思います。
私たちの中で「療育っておもしろい!保育に活かせそう!もっと連携できれば子どもたちにも私たちにもすごくいいんじゃない?!」と思うようになったのは、2022年に言語聴覚士の西野章子先生と出会ったことがきっかけでした。
フリーランスの言語聴覚士として活躍している西野先生には、月に1回、園に来てもらって保育園の一室を使って、「ことばの教室」を開いてもらっています。
この「ことばの教室」では、保護者が西野先生に個別で相談をしたり、お子さんの発達に応じた支援(子どもにとっては遊びの延長線上のような)を受けたりしています。西野先生はいつも一人ひとりに寄り添って対応してくれます。そのため、「ことばの教室」はとても人気で毎回すぐに定員に達して募集を締め切るほどです。子どもの愛すべき部分を見つけてくれる西野先生。「療育」「発達障害」などあまり深く考えず、保護者も保育者も気軽に相談できる存在になっています。
また、西野先生には、月1回の「ことばの教室」以外にも保護者/保育者向けの勉強会の講師もしてもらっています。西野先生の勉強会は、言葉の発達だけではなく、食べることや発達に合わせた絵本選び、就学前に私達ができることなど、おうちで取り組みやすい内容になっています。
西野先生と出会って感じたことは、言語聴覚士などの療育分野で活躍されている専門家は、「療育」だけが専門ではなく、「発達」の専門家なのだということです。その専門性は子どもたちみんなそれぞれの発達をサポートするのに活かすことができると感じています。
現在は、月に1回の保育所等訪問支援LIGAREとの療育連携もしています。この療育連携では、作業療法士等の方に月に1回園に来てもらい、保育者からの相談を受けてもらっています。とても丁寧なフィードバックがあり、保育にも活かしやすいアドバイスをもらっています。定期的、かつ、継続的に訪問してくれているので、なにか気になることがあれば「またLIGAREの◯◯さんに相談してみよう」と思えるとても心強い存在になっています。
3ヵ月に1回程度、臨床心理士の先生にも来てもらっています。他園での研修や訪問もされている発達心理の専門家です。まめの木保育園では、ケーススタディをしたり、職員カウンセリングを行ってもらっています。保育者が心身ともに健康であることは、子どもたちが安心して園で過ごせるためにはとても重要だと思っています。
専門家と連携することで、保育者は集団生活の中での伝わりやすい声掛けや、絵カードを使ったわかりやすい指示の出し方など、子どもたちへの接し方にも変化がでてきました。そうすると集団生活の中で困り感を抱えていた子たちにも反応があり、これまでよく困っていた場面でも保育者の声に応答できたり、集団生活の困り感が減ってきた場面も見られました。このような療育的要素を含んだ関わりは、発達支援が必要とされていない子どもたちにもとてもわかりやすいようです。子どもたちのそれぞれの個性を大切に伸び伸びと成長できる保育を目指すためには、これからも他職種の専門家と連携していきたいと思っています。
まめの木保育園に来てくれている専門家のみなさんへ
いつも「子どもたちにとってなにが本当にいいことなんだろう、必要なんだろう」ということに真剣に向き合ってくれてありがとうございます。その熱量を近くで感じると、一緒に子どもたちのことを真剣に考える仲間ができたようでとても心強いです。
これからもよろしくお願いいたします。

Comments